歯科のレントゲンは安全?被ばく量は大丈夫?
歯科のレントゲンは安全?被ばく量は大丈夫?
歯医者さんの治療では、いろいろな場面でレントゲン撮影を行います。レントゲンというと放射線の照射を伴うことから“被ばくが心配”という方もいらっしゃることでしょう。今回はそんな歯科のレントゲン被ばく量や安全性についてわかりやすく解説します。
1. 健康被害が生じることはまずない
結論からいうと、歯科のレントゲン撮影によって健康被害が生じることはまずありません。それは以下に挙げる理由からです。
1-1 そもそも放射線量が低い
歯科治療で行われるレントゲン撮影では、1回あたり0.01ミリシーベルトの被ばくを伴います。上下の歯列全体を写すパノラマ撮影の場合は、0.03ミリシーベルトの被ばくを伴います。これが多いか少ないかは、一般の人にわかりづらいですよね。そこで参考となるのが自然界から受けている自然放射線量です。
私たちは普段、生活している中で、大気や大地からわずかながら被ばくしています。これは食べ物も含め、至る所に自然放射性物質が存在しているからです。その被ばく量は、年間で2.4ミリシーベルトに及ぶと考えられています。地域によっては年間で10ミリシーベルトの被ばくが生じているケースもあるのです。そう考えると、歯科のレントゲン撮影に伴う被ばく量は、微々たるものであるとお分かりいただけるでしょう。
1-2 照射範囲が口腔に限定している
歯科のレントゲン撮影は、デンタルやパノラマなど、照射範囲が歯列の一部、あるいは口腔周囲に限定されています。医科のレントゲン撮影のように、腹部や胸部、あるいは全身が照射範囲となることはありません。そのため、撮影に伴う被ばく量も自ずと少なくなります。
1-3 鉛製のエプロンを着用
歯科のレントゲン撮影では、原則として鉛製のエプロンを着用します。鉛には放射線を遮断する作用があり、顔から下の放射線防護も万全といえます。
2. 妊娠中のレントゲン撮影について
上述したように、歯科のレントゲン撮影は基本的に安全です。重篤な全身疾患などがなければ、安心して受けることができます。ただ、妊娠中の女性に関しては注意が必要です。例えば、妊娠初期はお腹の赤ちゃんの器官形成期でもあり、外からの刺激を受けやすくなっています。妊婦さんの体調や胎児の発育状況によっては、レントゲン撮影を控えた方が良い場合もあります。
安定期である妊娠中期であれば、レントゲン撮影を行っても問題ありません。もちろん、妊婦さんの体調を考慮した上で、検査を行うか決める必要があります。とはいえ、歯科のレントゲン撮影は、照射部位が口腔であり、首から下を鉛のエプロンで防護することから、妊婦さんでも安心して受けられるものとなっております。不安な点があれば、いつでも当院までご相談ください。
3. レントゲン撮影によるメリット
歯科や医科でレントゲン撮影が行われる場合、それは検査によるメリットがデメリットを上回っていることを意味します。つまり、ある程度の被ばくは伴うものの、検査を行うことによって正確な情報が得られ、精密な治療が可能となります。その結果、患者さまが得られるメリットの方が大きくなるのです。もちろん、健康被害が予想されるようなケースでは、始めからレントゲン撮影が除外されますのでご安心ください。
4. まとめ
このように、歯科のレントゲン撮影は基本的に安全です。体調が安定している妊婦さんでも安心して受けることができます。それでも不安だという方は、ためらわずに歯医者さんに相談しましょう。