インプラントに伴うリスク・デメリットとその対処法
インプラントは、天然歯に近い噛み心地、見た目の良さを獲得できる素晴らしい治療法です。さらに、残った歯を削る必要がない、顎の骨が痩せにくいなど、実にたくさんのメリットが存在しています。ただ、どんなに優れた治療法でも、必ず何らかのリスクやデメリットを伴うものです。ここではそんなインプラント治療に伴うリスク・デメリットとそれらを解決するための方法をわかりやすく解説します。
インプラントのデメリット
インプラント治療には、以下に挙げるようなデメリットを伴います。
保険が適用されない
インプラント治療は、原則として保険が適用されません。これはブリッジや入れ歯治療と大きく異なる点です。治療にかかった費用の10割を患者さまが負担することなるため、経済面を重視する方にとってはデメリットといえます。
外科手術が必須
インプラントでは、人工歯根であるインプラント体を埋入する外科手術が必須となっています。過去に手術を受けた経験がない場合は、不安材料のひとつといえるでしょう。
治療期間が比較的長い
一般的なブリッジ・入れ歯治療は、1~2ヶ月で装置の装着まで行えます。一方、インプラントは、人工歯根が顎の骨に定着するまで待たなければならないので、6ヶ月前後の期間を要します。ケースによっては、治療期間がさらに長引くこともあります。
インプラント手術のリスク
インプラント治療の中でも、外科手術を実施する際には、以下に挙げるようなリスクを伴います。ここでは、それらのリスクを軽減する方法も解説します。
重要な神経・血管を傷つけるリスク
下顎のインプラントを埋入する際には、下顎管(かがくかん)の位置に十分注意する必要があります。下顎管の中には、下歯槽神経や下歯槽動脈といった重要な組織が収められているからです。これらを誤って傷つけてしまうと、口唇周囲の神経麻痺や術中の大量出血を引き起こします。
上顎洞への穿孔
上顎のインプラントの場合は、上顎洞に人工歯根が突き出てしまうリスクがあります。上顎洞への穿孔が起こると、上顎洞炎など深刻な病態を引き起こすため要注意です。
リスクを回避する方法
これらのリスクを回避、あるいは軽減する上では、歯科用CTによる精密診断が有用です。レントゲン撮影では得られない3次元的な画像を取得できることから、下顎管や上顎洞の位置などを正確に把握できます。インプラントを埋入する位置や深さ、角度なども精密にシミュレーションできます。また、経験豊富な歯科医師が執刀することで、より安全にインプラント手術を実施することが可能となります。
まとめ
今回は、インプラントのメリットではなく、デメリットやリスクといった負の部分にフォーカスを当ててみました。やはり、インプラント治療も医療である以上、必ずデメリットやリスクも伴います。そうした負の面まできちんと理解した上で、治療を選択することが大切です。