奥歯のインプラント治療の特徴と注意点
私たちの歯は、親知らずを除くと全部で28本生えてきます。それぞれ形や大きさが異なり、役割も違っています。その中で「そしゃく機能」の主体となっているのが「奥歯」です。とくに大臼歯(だいきゅうし)と呼ばれる奥歯を失うと、そしゃく機能が著しく低下することから、治療によって早急に補う必要が出てきます。今回はそんな奥歯の欠損に対して、インプラントを選択するメリットやデメリット、注意点などをわかりやすく解説します。
そもそもインプラントとは?
イインプラントとは、歯科治療の中で唯一、「人工歯根」が存在している装置で、天然歯のようにしっかり噛むことができます。そのため、そしゃく機能の主体となる奥歯の欠損補綴(けっそんほてつ)としては、非常にメリットの大きい治療法といえます。
装置による噛む力の違いについて
失った歯の治療方法としては、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つが選択肢として挙げられます。いずれも歯を失った部分に人工歯を配置することで、見た目上の問題はある程度、改善できます。奥歯は比較的目立ちにくい部位なので、見た目の良し悪しはそれほど気にしない、という方も多いかもしれませんね。けれども、“噛む力”となると話は変わります。
◎天然歯で噛む力を100%とすると?
本物の歯で噛んだ時の力を100%とした場合、入れ歯では40%程度の力でしか噛めないと言われています。入れ歯は着脱式の装置であり、比較的安定性が低いので噛む力も弱くなっています。ブリッジは固定式ではあるものの、歯根が存在しないことから、噛む力は60%程度にとどまります。固定式でなおかつ歯根があるインプラントは、ほぼ100%に近い力で噛むことが可能です。噛む力というのは、装置によってこれほどまでに違いが現れるものなのです。
顎の骨への影響について
奥歯の欠損でもうひとつ注意しなければならないのが「顎骨の吸収」です。顎の骨は手足の骨と同様、使わなければどんどん退化していきます。“痩せていく”といった方がわかりやすいかもしれませんね。入れ歯やブリッジは、欠損部の骨に刺激が伝わらないことから、治療後は徐々に骨が痩せていきます。その影響は、残った奥歯にも及んでいくことでしょう。
一方、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込むインプラントでは、食事をする度に噛んだ時の力が顎骨へと伝わるため、骨が痩せていく現象を抑えられます。ブリッジや入れ歯のように残った歯を支えとすることもないので、周囲組織の健康も保ちやすくなります。
奥歯のインプラントの注意点
大臼歯は、28本ある歯の中でも極めて重要性が高いので、歯根まで回復できるインプラント治療は非常に有用です。ただ、人工歯根を埋め込むための外科手術が必須となる点を忘れてはいけません。その際、注意が必要なリスク・トラブルは2つ挙げられます。
1つ目は、上の奥歯のインプラントを入れる際の「上顎洞への穿孔」です。上の奥歯の直上には、上顎洞と呼ばれる空洞が存在しています。インプラントを埋入する角度や深さを誤ると、人工歯根の一部が上顎洞へと貫通して、上顎洞炎などを引き起こすことがあります。
2つ目は、「下歯槽神経の損傷」です。下の奥歯の下方にある神経を傷つけると、術後に神経麻痺が残ることがあります。どちらも精密なインプラント治療を実施することで、回避することは十分可能です。
まとめ
今回は、奥歯のインプラント治療について解説してきましたがいかがだったでしょうか。奥歯のインプラント治療の手順や費用、治療期間についても詳しく知りたいという方は、お気軽に当院までご相談ください。