インプラントで失敗する原因と対処法を解説
インプラントは、手術を要する処置の中でも成功率が高い治療法ですが、失敗することを不安に感じている方が多いようです。インプラントも医療行為の一種であり、失敗するリスクは必ず伴いますが、その確率を限りなくゼロに近付ける対処法が存在しています。そこで今回は、インプラントで失敗する原因と歯科医院側がとっている対処法についてわかりやすく解説します。
インプラント手術で失敗する原因と対処法
◎人工歯根の埋入位置のミス
インプラントのかなめとなる人工歯根は、埋入位置を誤ると治療そのものが失敗に終わります。人工歯根が顎に定着しないだけでなく、上顎洞炎や神経の麻痺といった偶発症を起こしてしまうリスクもあります。
【対処法】
人工歯根の埋入は、次に挙げる方法で適切に実施できます。
・歯科用CTを用いた精密診断
・CTデータを活用したデジタルシミュレーション
・インプラント手術の経験豊富な歯科医師が執刀
・ガイデッドサージェリーの実施
ガイデッドサージェリーとは、人工歯根の埋入処置で「サージカルガイド」と呼ばれる装置を用いる方法です。デジタルシミュレーションで最適といえる埋入位置・角度・深さを計算し、そのデータをもとにマウスピース型のガイドを製作します。手術当日は患者様にサージカルガイドを装着していただくことで、インプラント埋入時の安全性と確実性を確保できます。
インプラント治療後に失敗する原因と対処法
◎インプラント周囲炎の発症
インプラント治療後に失敗する主な原因は、インプラント周囲炎の発症です。インプラントの周りの歯茎や歯槽骨が細菌に感染し、破壊が進んでいきます。最終的には人工歯根を支えきれなくなり、インプラント治療が失敗に終わります。
【対処法】
インプラント周囲炎を予防するためには、セルフケアとプロフェッショナルケアの両立を徹底する必要があります。とくに定期的なメンテナンスを怠ってしまうと、インプラントや周囲組織の異常に気付くのが遅れ、取り返しのつかないトラブルへと発展しかねません。
・インプラントが歯周病にかかりやすい理由
インプラントは、人工歯との境目の部分に汚れがたまりやすくなっています。それは天然歯の歯頚部(しけいぶ)とは構造が異なるからです。また、人工歯根の表面には歯根膜が存在しておらず、顎の骨と直接、結合している点にも注意が必要です。歯根膜が介在していないということは、細菌と戦う免疫細胞も供給されにくいことを意味するからです。
◎上部構造の破損
インプラントの上部構造はセラミックで作られていることが多く、何かの拍子に割れることがあります。それは一般的な被せ物治療と同じです。修理が可能な点も共通しており、上部構造の破損がインプラント治療そのものの失敗とは言い難いです。ただ、上部構造がなければインプラントとしての役割を果たすことができないため、早急に作り直す必要があります。
【対処法】
インプラントは天然歯のようにしっかり噛める装置ですが、極端に固いものを噛むとセラミック歯が割れてしまいます。食事の際には適度に配慮するよう努めましょう。また、歯ぎしりや食いしばりなどの習癖がある場合も、上部構造の破損につながるため、早期に改善してください。
まとめ
このように、インプラント治療で失敗する原因はいくつか存在していますが、現状すべてに対処法や予防策がとられています。正しい知識を持った歯科医師が適切な方法で治療する限り、失敗するリスクは大きく抑えられます。