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インプラントすると矯正できないって本当?

インプラントは、失った歯を補うための治療法です。顎の骨に人工歯根を埋入することから、天然歯に限りなく近い見た目、噛み心地が手に入ります。ただ、インプラントはあくまで人工物であるため、矯正治療を行うとなるといくつか問題が出てきます。今回はそんなインプラントと歯列矯正の関係についてかんたんにご説明します。

矯正の可否はお口の状況で決まる

インプラントが入っていても、歯列矯正できるケースは多々あります。もちろん、天然歯のみのケースと比較すると矯正の難易度は高まりますが、高度な技術と確かな知識を持った矯正医であれば対応可能です。逆に、経験の浅い歯科医師が担当したり、埋入したインプラントの本数が多かったりすると、対応するのが難しくなります。ですから、「インプラントを入れている=矯正できない」という話ではありませんのでご安心ください。

インプラントは矯正で動かせない

インプラントが存在している歯列でも矯正できることはありますが、人工歯根は移動できない点にご注意ください。インプラントは、人工歯根とアバットメント、人工歯に相当する上部構造の3つから構成されており、一見すると天然歯にそっくりではりますが、「歯根膜」という重要な組織がありません。

◎歯根膜とは?

歯根膜とは、天然歯の歯根の表面に存在している薄い膜で、普段は噛んだ時の圧力を緩和したり、噛む力を調整したりするのに役立っています。矯正の際には装置による圧力を感じ取って、前方の骨を吸収させる作用を促します。人工歯根にはその歯根膜がないため、骨のリモデリングが起こらず、歯の移動が正常に起こりません。むしろ、矯正力によって顎の骨に病的な炎症反応が起こり、最終的にはインプラントの脱落へと発展しかねないのです。

矯正後にインプラントを入れ直すことはある?

インプラントを入れた歯列で矯正を行うと、結果的にインプラント以外の歯が移動することになります。ですから、インプラントが入っている位置や本数によっては、全体の歯並び・噛み合わせに異常が生じる可能性もあるため、矯正後にインプラントを入れ直さなければならないのでは?と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。実際は、そうしたケースは稀です。そもそもインプラントを入れ直さなければならなくなる症例で、歯列矯正は行わないでしょう。その点は、初診やカウンセリングの段階でしっかり確認しておくことが大切です。

インプラント矯正ってなに?

とても紛らわしいものに「インプラント矯正」というものがあります。正確には「矯正用アンカースクリュー」と呼ばれるもので、チタン製のネジを顎の骨に埋め込む点は一般的なインプラントと同じですが、目的や手順などがまったく異なります。矯正用アンカースクリューは、歯茎やお口の天井部分である口蓋(こうがい)に埋め込むネジで、歯を動かす際の固定源となります。人工歯根のインプラントよりも小さく、その上に人工歯を被せることもありません。つまり、インプラント矯正というのは、人工歯根であるインプラントを利用した矯正治療ではなく、チタン製のネジを活用した歯列矯正の技術のひとつでしかないのです。その点はしっかりご理解ください。

まとめ

今回は、インプラントをしても矯正治療を受けることができるかどうかについて解説しました。インプラントそのものは矯正で移動することはできませんが、全体の歯並びを整えることは可能といえます。そんなインプラントと歯列矯正の関連についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽に当院までご相談ください。

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