インプラント治療が向いている人・向いていない人
昨今、失った歯の治療法としてインプラントを希望される方が非常に多くなっています。これまでは、保険診療のブリッジや入れ歯の人気が高かったのですが、手軽に作れるだけあって、不満に感じる部分も多いようです。そうした従来法の欠点をことごとく補っているのがインプラントだけに、注目が集まる理由もよく理解できます。ただし、インプラントがすべての人に最適な治療法となっているわけではありませんので、その点はご注意ください。そこで今回はインプラント治療が向いている人と向いていない人について、わかりやすく解説します。
インプラントが向いている人
◎本物の歯のようにしっかり噛みたい
歯科治療で製作する人工歯というのは、一見するとすべて同じように見えるかもしれませんが、付随する装置によって噛み心地が大きくことなります。入れ歯は義歯床(ぎししょう)やクラスプなどで支えられており、比較的不安定であることから、噛み心地はあまり良くありません。食事をしている時に入れ歯がずれたり、外れたりするトラブルはよくあります。一方、インプラントの上部構造は人工歯根とアバットメントだけで支えられます。その構造は天然歯に酷似しており、噛み心地も限りなく本物の歯に近いといえます。
◎自然な見た目の人工歯が欲しい
インプラントは、機能性だけでなく、審美性にも優れています。人工歯根があるおかげで、余計なパーツを付随する必要がないからです。そのため、見た目の美しさに関しても、保険診療の入れ歯やブリッジより優っているといえます。
◎装置を長く使いたい
保険診療の入れ歯の寿命は4~5年、ブリッジは7~8年と言われています。ケアの状況が悪ければ、もっと短い期間で再治療が必要となることでしょう。その点、インプラントには基本的に10年保証が付きます。これはインプラントの寿命が10年というわけではなく、定期検診・メンテナンスを継続して受けることで、15年、20年と使い続けることも難しくはないのです。これもまたインプラントの特筆すべき点のひとつであり、装置を長く使いたいという方の希望に合致した特長でもあります。
インプラントが向いていない人
◎歯科治療の費用をできるだけ抑えたい
失った歯の治療にかかる費用をできるだけ抑えたいという方には、間違いなく保険の入れ歯やブリッジがおすすめです。これらの治療法も必要最低限の機能や審美性を回復できますし、大きな欠陥があるわけではないのでご安心ください。
◎顎の骨の状態が悪い人
インプラント治療の可否を決める上で最も重要となるのは「顎の骨の状態」です。重度の歯周病を患っていて骨の破壊が進んでいたり、骨粗鬆症で骨がもろくなっていたりする人は、チタン製のネジを安全に埋め込むのが難しくなります。そうしたケースでは、患者様がインプラント治療を希望されていてもその他の治療法をご提案することになります。
◎全身の健康状態が悪い人
重度の高血圧症や糖尿病、血液疾患を患っていたり、6ヶ月以内に心筋梗塞や脳梗塞などを発症していたりする人は、インプラント治療が難しいです。外科手術を行う際にさまざまな偶発症のリスクが上昇するため、その他の治療法が推奨されます。もちろん、全身状態によってはインプラント治療が可能となることもありますが、精密検査を行ってみなければ判断できません。
まとめ
今回は、インプラント治療が向いている人と向いていない人について解説しました。上述したのはあくまで一例なので、参考程度に受け止めてください。いずれにせよインプラント治療を希望される方は、一度カウンセリングを受けることをおすすめします。