インプラントと本物の歯の違いとは?
インプラントのメリットとしては、「本物の歯の見た目にそっくり」とか「天然歯のようにしっかり噛める」といったことをよく耳にしますが、本物の歯とは何が違うのかも気になりますよね。今回はそんなインプラントと天然歯の違いについて詳しく解説します。
インプラントは虫歯にならない
本物の歯は、エナメル質と象牙質から構成されており、歯垢や歯石が堆積することで虫歯になります。歯質は虫歯菌が産生する酸に弱い性質を持っているからです。インプラントは、どんなに汚れていても虫歯になることはありません。なぜなら、インプラント歯根から歯冠まで人工物で構成されており、虫歯菌の酸で溶かされることがないからです。だからといって、インプラントを不潔にしても問題ないということにはなりません。インプラントは本物の歯と同様、歯周病にはなります。しかも天然歯の歯周病よりも重症化しやすい「インプラント周囲炎」のリスクが高い点にご注意ください。
インプラントには「歯根膜」がない
本物の歯の根っこには、その周りに「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれる軟組織が存在しています。歯根膜は栄養・酸素・免疫細胞などを供給する組織で、歯や顎の骨の健康維持・増進に大きく寄与しています。また、噛んだ時の圧力を緩和するクッションとしての役割を果たしたり、噛む力を調節したりする役割を担っていることから、歯根膜の有無はインプラントと本物の歯における極めて大きな違いといえます。
インプラントと天然歯はどっちが優れている?
インプラントと天然歯を比較した場合、どちらも正常な状態であれば、間違いなく天然歯が優れています。インプラントはあくまで正常な天然歯の見た目や機能を回復させるための装置であり、本物の歯より優れているということはありません。ですから、健康な天然歯があるのに、それを抜いてインプラントを埋め込むような治療は決しておすすめできません。けれども、天然歯の状態が悪ければ話は変わります。
インプラントを埋め込んだ方が良いケースとは?
天然歯が重度の虫歯にかかって歯冠が崩壊し、歯根だけになったような状態では、インプラントを埋め込んだ方が良いといえます。無理をして天然の歯根を残すことも可能ですが、しっかり機能してくれる人工歯を被せるのはなかなか難しいといえます。仮に被せることができたとしても、歯根とのバランスが悪くて結局は抜歯を余儀なくされることも珍しくないのです。もしくは、オールオン4のような大型の上部構造を装着するために、あえて残っている天然歯を抜くこともあります。これは1本の歯よりも全体の歯並び・噛み合わせを優先した場合です。
インプラントの寿命について
私たちの歯の寿命は、歯の種類によっても大きく異なりますが、平均的には50~65年程度といわれています。実際はもっと早い段階で抜けてしまうことも多く、それゆえインプラントや入れ歯、ブリッジといった欠損補綴が必要となります。
一方、インプラントは10年保証があるように、10年以上持つケースがほとんどであり、適切なケアを継続していれば、30年、40年使い続けることも可能となっています。そう考えると寿命という観点においては、インプラントと本物の歯に大きな差があるわけではないといえます。
まとめ
今回は、インプラントと本物の歯の違いについて解説しました。両者は審美性や機能性が似ていても、異なる部分がいくつかありますので、その点は正確に把握しておくことが大切です。