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インプラントで注意すべき全身の病気

失った歯を補う入れ歯治療には、適応外となるケースがほとんどありません。支えとなる歯が1本もなく、90歳になった高齢の方でも問題なく装着できますが、インプラントは少し違います。インプラント治療には、顎の骨に金属製のネジを埋め込む外科手術を伴うからです。そこで今回は、インプラントで注意すべき全身の病気について詳しく解説します。

末梢の血流が悪くなる「糖尿病」

生活習慣病の一種である糖尿病は、中高年の男性に好発する全身疾患です。血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの効果や分泌量が低下することで、高血糖状態が続き、慢性疲労や創傷治癒の遅れ、頻尿などの症状が現れるようになります。その中でもとくに注意しなければならないのが「易感染性(いかんせんせい)」という状態です。糖尿病によって末梢の血流が悪くなると、免疫を担当する細胞が組織の末端にまで行き届かず、細菌やウイルスに感染しやすくなるのです。お口の中でいえば「歯周組織」が末梢にあたり、歯周病菌などへの感染リスクが上昇して、歯肉・歯槽骨が破壊されていきます。

骨の密度が低下する「骨粗しょう症」

骨粗しょう症も高齢になるほど発症リスクが高まる全身疾患です。骨の強さを表す「骨密度」が低下し、ちょっとした刺激が加わっただけでも骨折を招いてしまいます。そうした「易骨折性(いこっせつせい)」は、手足の骨で注意すべきことですが、インプラント治療で問題となるのは顎の骨です。顎の骨の密度が低下したり、絶対的な量が不足したりすると人工歯根が定着しなくなるからです。そういった点から重度の骨粗しょう症を患っている場合は、インプラント治療が適応外となることもあります。

血液のトラブルをもたらす「高血圧症」

血圧が常に高い状態にある方は、血管に対して過剰な負担がかかっています。その結果、動脈の壁が硬くなったり、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上昇していたりするため十分な注意が必要といえます。外科手術ともなると、患者さまの不安感やストレスも普段より大きくなり、最高血圧が200以上になる可能性も十分にあり得るのです。もちろん、服薬などで血圧の状態が一定水準以内に保たれていれば、インプラント手術も安全に行うことができます。手術時の不安感を和らげることができる静脈内鎮静法を併用すると、そうしたリスクはさらに低下します。

脳梗塞・心筋梗塞にかかったことがある

脳梗塞や心筋梗塞は、細くなった血管に血の塊である「血栓(けっせん)」が詰まる病気です。血管が血栓によって塞がれると、その周囲の細胞は死んでしまい、臓器としての機能も著しく低下します。とくに脳梗塞の既往がある方は、半身が麻痺するなどの後遺症に悩まされることも多く、とても深刻な病気として広く知られていますよね。そうした病気にかかったある人は、血液が固まりにくくなる病気を飲んで予防に努めていることが多く、出血を伴う外科手術の際には十分に配慮する必要があります。

まとめ

今回は、インプラント治療で注意すべき全身の病気について解説しました。どれも有名な病気であり、誰がいつかかってもおかしくないものなので、インプラント治療をご検討中の方は頭の片隅に入れておいていただけたらと思います。繰り返しにはなりますが上述した病気にかかっていたとしても、病態がコントロールされていればインプラント治療は受けられます。

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