インプラントの表面加工処理の種類と特徴
インプラント治療で用いる人工歯根(インプラント体)は、顎の骨としっかり結合させなければなりません。専門的には「オッセオインテグレーション」と呼ばれる現象で、骨組織とインプラント体とが光学顕微鏡レベルで直接、結合した状態を指します。この現象を起こさせる上で、インプラント体の表面加工は非常に重要な意味を持ってきます。そこで今回は、インプラントの表面加工処理の種類と特徴についてかんたんにご説明します。
ブラスト処理
ブラスト処理とは、インプラント体の表面に形成された酸化膜を取り除き、ザラザラとした性状に加工することで骨との結合力を高めるものです。歯科用の材料というのは、最終工程できれいに研磨するのが一般的ですが、それは口腔内に露出する部分に限られます。インプラント体のような顎骨に埋め込むパーツは、ツルツルよりもザラザラしていた方が安定しやすくなるのです。
酸処理
酸処理は、ブラスト処理によって発生したブラスト材を洗い流すために行うものです。ブラスト処理自体は、インプラント体を顎の骨の結合に有用なのですが、表面にゴミが付着していたらさまざま点で不利に働くため、酸を使ってきれいに洗い流すのです。
酸化処理
酸化処理は、酸処理と混同しがちですが、まったく異なるプロセスです。酸処理は余計なゴミを取り除くためのものですが、酸化処理では「酸化チタン」を付与するために行います。その結果、インプラント体の表面に凹凸ができ、骨との結合力が高まります。
機械研磨処理
機械研磨処理とは、文字通り機械を使ってインプラント体を磨き上げるために行うものです。ただし、研磨するのはネックの部分だけであり、上記の表面加工した部分には触れません。せっかく加工したのに、最後に磨き上げてしまったら意味がなくなりますからね。
HAコーティングについて
昨今、HAインプラントというものが注目を集めています。HAとはハイドロキシアパタイトの略称で、私たちの歯や顎の骨の構成する主な成分です。エナメル質の97%、象牙質の70%がハイドロキシアパタイトから成っていることを考えると、歯牙にとっていかに重要な物質であるかがわかるかと思います。そんなハイドロキシアパタイトでチタンの表面をコーティングした人工歯根をHAインプラントと呼んでいます。
HAインプラントの場合は、チタンと顎の骨が直接、結合するのではなく、まずはハイドロキシアパタイトが介在します。そのためHAインプラントにおける骨との結合は、オッセオインテグレーションではなく、バイオインテグレーションと呼ばれています。ただし、インプラント体表面のハイドロキシアパタイトは、時間の経過とともに骨へと置換されていくため、最終的にはオッセオインテグレーションが生じます。一般的なインプラントとは少し異なる特徴を持ったシステムといえます。
まとめ
今回は、インプラントの表面加工処理の種類や特徴について解説しました。かなり専門性の高い内容なので、わかりにくい部分もあったのではないでしょうか。そんなインプラント表面加工についてさらに詳しく知りたい方は、いつでもお気軽に関デンタルクリニックまでご相談ください。当院はインプラント治療に力を入れている歯医者さんであり、どんな質問にもお答えできます。