インプラントのアバットメントの役割と素材を解説
インプラント治療では「フィクスチャー」と呼ばれる人工歯根に注目が集まりがちですが、「アバットメント」にも重要な役割があります。今回はそんなインプラントのアバットメントの特徴や役割、素材などについて関デンタルオフィスがわかりやすく解説をします。
そもそもアバットメントとは?
アバットメントは、人工歯根と上部構造を連結するための装置です。一般的な被せ物における土台やコアに相当する部分です。インプラント治療が終わった後は、上部構造によって完全に隠れるため、目で確認することはできません。現在、主流となっているツーピースタイプのインプラントでは、アバットメントが分離していますが、ワンピースタイプでは両者が一体となっているため、アバットメントという固有のパーツがないパターンもあるといえます。
アバットメントが担う役割について
インプラントのアバットメントには、驚くほど多くの役割が存在しています。
役割1:人工歯根と上部構造の連結
アバットメントの主な役割は、人工歯根と上部構造の連結です。いわゆる2回法のインプラント手術では、1回目の処置で人工歯根を埋入し、2回目の処置でアバットメントを装着します。傷口が安定したら、アバットメントと上部構造を連結させます。
役割2:人工歯根にかかる力を緩和する
アバットメントには、人工歯根の強度を補正する役割も期待できます。上部構造と人工歯根の間にアバットメントが介在することで、クッションのような働きを示す場合があるのです。その結果、人工歯根や顎の骨にかかる負担を軽減できます。
役割3:上部構造の角度の調整
人工歯根というのは、必ずしも真っすぐに埋入できるわけではありません。顎の骨の状態によっては、傾斜をつけなければならないこともあるのです。そのままの状態で上部構造を装着すると、当然ですが傾斜がかかってしまいますが、アバットメントで角度調整することで、対合歯との噛み合わせも正常化できます。
役割4:上部構造の保護
斜めに埋入した人工歯根の角度をアバットメントで修正することは、上部構造の保護にもつながります。斜めのままだと過剰力が上部構造にかかるからです。
アバットメントに使われる素材の種類
アバットメントの素材としては、純チタン、チタン合金、セラミック、金合金の4つが主に使われています。最もスタンダードなのはチタンですが、歯茎や顎の骨の状態によっては金属色が目立ってしまうことから、セラミックを選択するケースも珍しくありません。金属アレルギーを持っている場合もセラミックが適しているといえるでしょう。具体的には、ジルコニアというセラミックで作られたアバットメントが広く普及しています。このように、アバットメントには素材だけでもそれなりのバリエーションがありますので、最善といえるものを選択することが大切です。
まとめ
今回は、インプラント治療で使うアバットメントの特徴や役割、素材の種類などを関デンタルオフィスが解説しました。アバットメントは、インプラント治療における補助的な装置なので、あまり詳しく知らなかったという方も多いのではないでしょうか。本文でも述べたように、アバットメントはインプラント治療において欠かすことのできないパーツである、たくさんの役割を担っています。インプラント治療で失敗や後悔をしないためにも、アバットメントについても正しく理解しておきましょう。アバットメントについてもっと詳しく知りたい、よくわからないことがある、という方はいつでもお気軽に当院までご相談ください。