奥歯をインプラントにするデメリットはある?
歯は、歯種(ししゅ)によって寿命が大きく変わってきます。比較的寿命が長いのは中切歯や側切歯、犬歯といった前歯で、下に関しては66年以上持つのが日本人の平均です。その一方で奥歯の寿命は短く、第一大臼歯や第二大臼歯は50年前後が平均的な寿命となっています。人によっては若いうちにそれら奥歯を失ってしまうこともあるため、入れ歯やインプラントといった補綴装置で補う必要性が出てきます。今回はそんな奥歯をインプラントで治療するデメリットに焦点を当てて、詳しく解説したいと思います。
奥歯をインプラントで治療するデメリット
何らかの理由で失った奥歯を入れ歯やブリッジではなく、インプラントで治療をすると、次に挙げるようなデメリットが生じます。
デメリット1:費用は全額自己負担となる
奥歯をインプラントで治療する場合のデメリットとしては、保険適用外である点をお伝えしておかなければなりません。インプラントは極めて優れた治療法ではありますが、原則として保険が適用されないのです。そのため失った歯の治療で費用が安い点に重きを置いている場合は、従来法の入れ歯やブリッジを選択した方が良いといえます。
デメリット2:治療期間が長くなる
インプラントでは、顎の骨にチタン製のネジを埋め込んでから数ヵ月、待つ必要があることから、治療にかかる期間も自ずと長くなります。1~2ヵ月で終わることが多いブリッジ・入れ歯とはその点が大きく異なります。
デメリット3:骨の状態によって治療内容が変わる
奥歯の骨は比較的丈夫ではありますが、加齢などによって骨が不足している場合は、再生療法が必要となります。具体的には、サイナスリフトやソケットリフト、GBR法といった骨造成術を併用しなければなりません。骨不足が重度の場合は、そもそも奥歯のインプラント治療が行えない可能性も出てきます。
デメリット4:歯周病のリスクが高くなる
奥歯を入れ歯で治療する場合は、装置を取り外した状態でケアできますが、ブリッジやインプラントは固定式装置なので、ケアしにくい部分が出てきます。とくにインプラントは歯茎との境目に汚れがたまりやすく、歯周病のリスクも高くなっている点に注意しなければなりません。インプラント特有の歯周病で「インプラント周囲炎」を発症すると、人工歯根と顎骨との結合が失われて、治療そのものが失敗に終わってしまうのです。
デメリット5:全身状態が良好であることが前提
インプラント治療には、外科手術を伴うため、全身状態が良好でなければなりません。重症度の高い糖尿病や高血圧症、骨粗しょう症、心疾患などを患っている場合は要注意です。手術中に全身状態が急変するようなケースは、インプラント治療を避けた方が望ましいといえます。これらの病気を患っていたとしても、症状が軽度から中等度で、病状がしっかりコントロールできている場合は、問題なくインプラント治療できます。
デメリット6:治療後のメンテナンスが必須となる
入れ歯やブリッジも治療後のメンテナンスが推奨されますが、インプラントの場合は必須となります。基本的にはインプラントが機能し続けている限り、継続的なメンテナンスの受診が必要となるのです。
まとめ
今回は、奥歯をインプラントにするデメリットについて、関デンタルオフィスが解説しました。奥歯は、歯列の中で最も重要な歯といっても過言ではありません。奥歯がなくなると、歯が持つ本来の機能であるそしゃくが大きく障害されてしまうからです。そんな奥歯を失った場合には、インプラントを推奨できますが、今回ご紹介したようなデメリットを伴うことも知っておいてください。インプラントは優れた治療法ではあるものの、決して万能ではないのです。