歯の脱灰と再石灰化とは
南柏駅東口徒歩30秒の関デンタルオフィスです。
今回のテーマは「歯の脱灰と再石灰化」です。
虫歯のメカニズムを知る上で、知っておくべきことが歯の脱灰と再石灰化です。
みなさんは虫歯の予防、もしくは虫歯になるリスクについて様々な知識があると思いますが、
それらの根底には歯の脱灰と再石灰化のメカニズムがあります。
今回お伝えするのは、このメカニズムについてです。
脱灰とは
脱灰とは、歯の表面から歯の成分が溶け出すことで、元々口の中には細菌が常に存在しており、
この細菌は食事をした時に摂取する糖を栄養にして酸を作ります。
そして、作り出した酸が歯の表面の成分…つまりミネラルを溶かしてしまうのです。
歯の表面の成分が溶かされるのは初期の虫歯を意味しますが、
仮にそうなら私達は食事をして糖を摂取するたびに虫歯になってしまうはずです。
しかしそうならないのは、脱灰の後に再石灰化が起こるためです。
再石灰化とは
脱灰後、時間が経過すると唾液に含まれるカルシウムなどによって歯を元の状態に戻します。
これが再石灰化であり、つまり再石灰化とは脱灰によって溶け出した歯を修復することです。
また、唾液は酸を中和する働きを持つため、脱灰によって酸性になった口の中を中性に中和します。
つまり、脱灰とは歯を虫歯にする現象であり、再石灰化とは歯を治す現象です。
再石灰化は自然に起こる現象のため、メカニズムだけ考えれば歯は虫歯にならないように思えます。
それでも虫歯になってしまうのは、この脱灰と再石灰化のバランスが崩れてしまうためです。
脱灰と再石灰化のバランス
脱灰と再石灰化は食事をするたびに繰り返されており、これらのバランスが整っていれば虫歯を防げます。
つまり、虫歯になるのは脱灰と再石灰化のバランスが崩れてしまうからで、
脱灰が多くなる、もしくは再石灰化が間に合わないなどの状態になってしまうと問題です。
ではどんな状態になると脱灰と再石灰化のバランスが崩れるのか?…例えば次のケースが挙げられます。
間食
再石灰化が行われても瞬時に歯が元の状態に戻るわけではなく、30分~40分ほど時間がかかります。
ですから、その時間中に再び食事をした場合、再石灰化が不充分な状態で新たな脱灰が起こります。
これを繰り返せば常に脱灰が起こり続けるため、頻繁な間食は脱灰と再石灰化のバランスを崩します。
糖の摂取
糖は細菌が脱灰を起こす栄養であり、言わば酸を出すエネルギーの源です。
当然多くの糖を摂取すればそれだけ多くの酸を出すことになりますから、
糖の摂取が多いと脱灰が多くなり、再石灰化による修復が間に合わなくなってしまいます。
ダラダラ食い
ダラダラ食いが問題なのは、食事の時間が長くなりすぎるためです。
脱灰は食事することで起こるため、その時間が長いことは脱灰も長く起こることを意味します。
そうなると再石灰化による修復が追いつかなくなり、脱灰と再石灰化のバランスが崩れます。
プラークの蓄積
脱灰の元である酸を出すのは細菌であり、つまり口の中の細菌が多いほど脱灰が強力になります。
そして細菌はプラークを棲み処としているため、
「プラークの蓄積が多い=脱灰が強力」ということになり、再石灰化とのバランスを崩します。
再石灰化を促進する方法
脱灰と再石灰化のバランスが崩れると言っても、再石灰化が強くなる分には全く問題ありません。
再石灰化は歯を修復する現象ですから、それが促進されることで歯は強くなるからです。
このため、再石灰化を促進して強力にすることは虫歯の予防につながります。
糖の摂取を控える
糖の摂取を控えれば、細菌は酸を出す栄養を吸収できなくなります。
このため多くの酸を出せなくなり、脱灰の効果を弱めることができます。
最も、摂取をゼロにすることは栄養面で問題が生じるため、摂取を控えることを意識してください。
食事の時によく噛む
再石灰化に欠かせないのは唾液ですが、唾液の分泌量は食事の仕方によって変化します。
さて、唾液は噛むことで多く分泌されますから、食事の時によく噛むことで再石灰化を促進させられます。
一方、よく噛まずに食事をすると、その後の再石灰化が不充分になってしまいます。
口の中を清潔な状態に保つ
要するに、歯磨きをしっかりすると言う意味です。
酸を出す細菌の棲み処であるプラークを除去する方法…それが歯磨きです。
歯磨きによってプラークが少ない状態にしておけば、脱灰の力が弱まります。
最後に
いかがでしたか?
最後に、歯の脱灰と再石灰化についてまとめます。
1. 脱灰とは :細菌によって歯の表面から歯の成分が溶け出す現象
2. 再石灰化とは :脱灰によって溶け出した歯の成分を修復する現象
3. 脱灰と再石灰化のバランス :脱灰が多くなることで再石灰化が追いつかなくなり虫歯が起こる
4. 再石灰化を促進する方法 :糖の摂取を控える、食事の時によく噛む、口の中を清潔な状態に保つ
これら4つのことから、歯の脱灰と再石灰化について分かります。
今回の説明から分かるとおり、私達は脱灰によって常に虫歯になるリスクを抱えており、
そのリスクを減らすのが再石灰化です。しかし、脱灰と再石灰化のバランスが崩れると虫歯は起こり、
それを防ぐにはバランスを保つ、さらには再石灰化を高めることが必要です。
虫歯予防につながる様々な方法はいずれも脱灰を弱める、もしくは再石灰化を強める意味があるのです。